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医師監修:金光 廣則 先生 最終更新:2026年4月
免責事項: 本記事は一般的な情報提供を目的としており、医師の診断・治療の代わりとなるものではありません。ピルの服用を検討される方は、必ず医師にご相談ください。本記事は薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)に基づき、特定の医薬品の効能効果を保証するものではありません。
低用量ピル(OC:Oral Contraceptives)は、エストロゲンとプロゲステロンという2種類の女性ホルモンを含む経口避妊薬です。日本では1999年に承認されて以来、避妊だけでなく、生理痛の緩和やPMS(月経前症候群)の改善など、女性のQOL向上に広く活用されています。
しかし、日本における低用量ピルの使用率は、欧米諸国と比較して依然として低い水準にとどまっています。Yoshidaらの研究によると、日本のコンドーム使用率が約80%であるのに対し、ピルの使用率は数%程度にとどまっており、避妊法の選択肢として十分に普及していない現状が指摘されています(Yoshida H, Sakamoto H. Contraception in Japan: Current trends. Contraception. 2016;93(6):475-477. PMID: 26872717)。
本記事では、低用量ピルの種類、効果、副作用、飲み方、費用、オンライン処方まで、知っておくべき情報を網羅的に解説します。
低用量ピルは、含まれるエストロゲン(エチニルエストラジオール:EE)の量が50μg未満のものを指します。現在、日本で処方される低用量ピルのEE含有量は主に30〜35μgで、超低用量ピル(ULD)では20μgのものもあります。
低用量ピルは、主に以下の3つのメカニズムで避妊効果を発揮します。
正しく服用した場合の避妊効果は非常に高く、一般的な使用における妊娠率は年間約9%(飲み忘れ等を含む)、理想的な使用では年間約0.3%とされています(添付文書情報および厚生労働省ガイドラインに基づく)。
日本で処方される主な低用量ピルには、以下のようなものがあります。
| 世代 | プロゲスチン | 代表的な製品名 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 第1世代 | ノルエチステロン | シンフェーズ、ルナベルLD/ULD | 不正出血が比較的多い |
| 第2世代 | レボノルゲストレル | トリキュラー、ラベルフィーユ | 段階型で自然なホルモン変動に近い |
| 第3世代 | デソゲストレル | マーベロン、ファボワール | 男性ホルモン作用が少なく、ニキビ改善に期待 |
| 第4世代 | ドロスピレノン | ヤーズ、ヤーズフレックス | むくみが少ない、超低用量 |
一相性はホルモン量が一定で飲み間違いが少なく管理しやすいメリットがあり、三相性は自然なホルモン変動に近いため不正出血が少ないとされています。
→ 詳しくは「低用量ピルの種類と選び方:マーベロン・ファボワール・トリキュラー比較」をご覧ください。
低用量ピルには、避妊以外にもさまざまなメリットがあります。
前述のとおり、正しく服用すれば99%以上の避妊効果が期待できます。
低用量ピルは子宮内膜を薄く保つことで、プロスタグランジンの産生を抑え、生理痛を軽減します。月経困難症の治療として、保険適用で処方される場合もあります。
→ 詳しくは「生理痛がひどい人のためのピル選び:月経困難症への効果」をご覧ください。
排卵を抑制することで、排卵後のホルモン変動に伴うPMS症状(イライラ、頭痛、むくみなど)の改善が期待できます。
→ 詳しくは「PMS(月経前症候群)にピルは効く?症状別の対処法」をご覧ください。
特に第3世代(マーベロン、ファボワール)や第4世代(ヤーズ)のピルは、アンドロゲン(男性ホルモン)活性が低いため、ホルモン性のニキビ改善に効果が期待できます。
→ 詳しくは「ピルとニキビの関係:肌荒れ改善に効くピルはどれ?」をご覧ください。
28日周期で規則正しい生理が来るようになり、経血量も減少するため、貧血の予防にも役立ちます。
子宮内膜の増殖を抑えることで、子宮内膜症の症状緩和や進行抑制が期待できます。
長期的な服用により、卵巣がんや子宮体がんの発症リスクが低下するとの報告があります(添付文書情報および厚生労働省ガイドラインに基づく)。
低用量ピルは安全性の高い医薬品ですが、副作用やリスクについても正しく理解しておくことが大切です。
服用開始から1〜3ヶ月の間に以下のような症状が現れることがありますが、多くの場合は体が慣れるにつれて軽減します。
「ピルを飲むと太る」という懸念は非常に多いですが、大規模な研究では低用量ピルと有意な体重増加の直接的な因果関係は示されていません(添付文書情報および厚生労働省ガイドラインに基づく)。ただし、むくみや食欲の変化を感じる方もいるため、気になる場合は医師にご相談ください。
低用量ピルの最も重大なリスクは、静脈血栓塞栓症(VTE:Venous Thromboembolism)です。エストロゲンは血液凝固因子に影響を与え、血栓のリスクを高める可能性があります。
Morimontらの包括的なレビューによると、低用量ピル服用者のVTEリスクは非服用者と比較して上昇することが報告されています。特に、含まれるプロゲスチンの種類によってリスクが異なり、第3世代(デソゲストレル)や第4世代(ドロスピレノン)は、第2世代(レボノルゲストレル)と比較してやや高いVTEリスクが示唆されています(Morimont L, et al. Combined Oral Contraceptives and Venous Thromboembolism: Review and Perspective. Front Endocrinol. 2021;12:769187. PMID: 34956081)。
ただし、絶対リスクとしては依然として低く、年間1万人あたり数人程度と報告されています。妊娠中や産後のVTEリスクはピル服用時よりも高いことも知られています(添付文書情報および厚生労働省ガイドラインに基づく)。
血栓症の初期症状(ACHES)に注意してください:
これらの症状が現れた場合は、直ちに服用を中止し、医療機関を受診してください。
→ 詳しくは「低用量ピルの副作用と対処法:太る?血栓リスクは?」をご覧ください。
低用量ピルは、一般的に以下のタイミングで服用を開始します。
飲み忘れへの対処は、忘れた時間やタイミングによって異なります。
→ 詳しくは「低用量ピルはいつから飲み始める?初めてのピルガイド」「ピルを飲み忘れたら?対処法と避妊効果への影響」をご覧ください。
避妊目的での処方は自費(自由診療)となります。
月経困難症や子宮内膜症の治療目的では、保険適用で処方されるLEP製剤(Low dose Estrogen Progestin)があります。
→ 詳しくは「低用量ピルの費用:保険適用と自費処方の違い」をご覧ください。
近年、オンライン診療でピルを処方してもらえるサービスが増えています。
zoey™ では、オンライン診療を通じて、医師の問診のもと、あなたに合った低用量ピルの処方を受けることができます。
→ 詳しくは「低用量ピルのオンライン処方:自宅で始められるクリニック選び」をご覧ください。
以下に該当する方は、低用量ピルの服用ができません。
服用の可否は必ず医師の判断を仰いでください。
「ピルを何年も飲み続けて大丈夫?」という疑問は多くの方が持っています。
一般的に、禁忌事項に該当せず、定期的な検診を受けている場合、低用量ピルの長期服用は安全とされています。ただし、長期服用に伴い、定期的な血液検査(血栓マーカーなど)や婦人科検診を受けることが推奨されます。
VTEリスクについては、服用開始から最初の1年間が最もリスクが高く、その後は徐々にリスクが低下するとの報告があります(Morimont L, et al. Front Endocrinol. 2021;12:769187. PMID: 34956081)。
服用を中止すれば、通常1〜3ヶ月以内に排卵が回復し、妊娠可能な状態に戻ります(添付文書情報および厚生労働省ガイドラインに基づく)。
→ 詳しくは「ピルの長期服用は安全?5年、10年飲み続けた場合のリスク」をご覧ください。
大規模な研究において、低用量ピルと有意な体重増加の直接的な因果関係は示されていません(添付文書情報および厚生労働省ガイドラインに基づく)。ただし、服用開始初期にむくみを感じる方もいます。第4世代のドロスピレノン含有ピル(ヤーズなど)は、利尿作用がありむくみにくいとされています。気になる場合は医師にご相談ください。
いいえ、低用量ピルは性感染症(STI)を予防する効果はありません。STIの予防にはコンドームの使用が必要です。ピルとコンドームの併用が推奨されます。
Day 1スタート(生理初日開始)の場合、服用初日から避妊効果が得られるとされています。Sundayスタートの場合は、最初の7日間は他の避妊法の併用が推奨されます。生理痛やPMSの改善効果は、通常2〜3シート(2〜3ヶ月)の服用で実感される方が多いです。
はい、低用量ピルの服用を中止すると、通常1〜3ヶ月以内に排卵が再開します(添付文書情報および厚生労働省ガイドラインに基づく)。長期服用後も、妊孕性(にんようせい:妊娠する能力)への長期的な悪影響は報告されていません(添付文書情報および厚生労働省ガイドラインに基づく)。
21日間の実薬服用後、7日間の休薬期間(またはプラセボ期間)に「消退出血」と呼ばれる軽い出血があります。これは通常の生理よりも軽く、期間も短いことが多いです。
ピルの選択は、あなたの年齢、体質、悩んでいる症状、ライフスタイルなどによって異なります。初めての方は、まず医師に相談し、問診を通じて最適なピルを処方してもらうことをおすすめします。zoey™ のオンライン診療では、医師があなたの状況に合わせたピルをご提案します。
はい、一部の薬はピルの効果を弱めたり、相互作用を起こす可能性があります。代表的なものとして、抗てんかん薬、抗結核薬(リファンピシン)、一部の抗生物質、セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)などがあります。服用中の薬がある場合は、必ず医師に伝えてください。
はい、医学的に必要と判断された場合、未成年でもピルの処方を受けることができます。月経困難症の治療目的であれば、保険適用で処方される場合もあります。保護者の同意が必要な場合もありますので、クリニックに事前確認することをおすすめします。
エストロゲンを含む低用量ピルは、母乳の量や質に影響を与える可能性があるため、一般的に授乳中は推奨されません。授乳中の避妊には、プロゲスチンのみのミニピルやIUD(子宮内避妊具)などが代替として検討されます。医師にご相談ください。
飲み始めの1〜3ヶ月は不正出血が起きることは珍しくありません。これはホルモンに体が適応する過程で起こるもので、多くの場合は自然に治まります。ただし、3ヶ月以上続く場合や、出血量が多い場合は、ピルの種類の変更を含めて医師に相談してください。
すぐにピルの服用を中止し、産婦人科を受診してください。なお、服用初期に気づかず妊娠していた場合でも、低用量ピルが胎児に悪影響を及ぼしたという明確なエビデンスは報告されていません(添付文書情報および厚生労働省ガイドラインに基づく)。ただし、妊娠がわかった時点で速やかに中止することが重要です。
40代でも、禁忌事項に該当しなければ服用可能です。ただし、年齢とともに血栓症のリスクが上がるため、より慎重な経過観察が必要です。特に喫煙されている方は、35歳以上でのピル服用は禁忌となりますのでご注意ください。
低用量ピルは、正しく使用すれば非常に効果的で安全な選択肢です。避妊だけでなく、生理痛やPMS、ニキビの改善など、多くの女性の悩みに対応できる可能性があります。
大切なのは、正しい知識を持ち、医師の管理のもとで服用することです。自分の体に合ったピルを見つけるためにも、まずは医師に相談してみましょう。
zoey™ では、オンライン診療を通じて、あなたのライフスタイルや体質に合った低用量ピルの処方をサポートしています。自宅から気軽にご相談いただけますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
参考文献: 1. Yoshida H, Sakamoto H. Contraception in Japan: Current trends. Contraception. 2016;93(6):475-477. PMID: 26872717 2. Morimont L, et al. Combined Oral Contraceptives and Venous Thromboembolism: Review and Perspective. Front Endocrinol. 2021;12:769187. PMID: 34956081
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