要点
- 低用量ピルにはさまざまな種類があり、「どれを選べばいいかわからない」という声を多く耳にします。
- 日本で処方される低用量ピルは、含まれるホルモンの種類や量、飲み方のパターンによって特徴が異なります。
- 日本では欧米に比べてピルの普及が遅れた経緯があり(Yoshida H, Sakamoto H. Contraception in Japan: Current trends. Contraception. 2016;93(6):475-477. PMID: 26872717)、種類や選び方に関する情報が十分に得られていない方も少なくありません。
はじめに
低用量ピルにはさまざまな種類があり、「どれを選べばいいかわからない」という声を多く耳にします。日本で処方される低用量ピルは、含まれるホルモンの種類や量、飲み方のパターンによって特徴が異なります。
日本では欧米に比べてピルの普及が遅れた経緯があり(Yoshida H, Sakamoto H. Contraception in Japan: Current trends. Contraception. 2016;93(6):475-477. PMID: 26872717)、種類や選び方に関する情報が十分に得られていない方も少なくありません。
本記事では、日本で広く処方されている代表的な低用量ピルの特徴を比較しながら、自分に合ったピルの選び方をわかりやすく解説します。
→ 低用量ピルの基本的な情報については「低用量ピル完全ガイド」もあわせてご覧ください。
低用量ピルの分類方法
低用量ピルは、主に以下の2つの観点から分類されます。
1. プロゲスチン(黄体ホルモン)の世代による分類
低用量ピルには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲスチン(黄体ホルモン)の2種類のホルモンが含まれています。エストロゲンはほぼすべてのピルでエチニルエストラジオール(EE)が使用されていますが、プロゲスチンは製品によって異なり、その種類によって「世代」が分かれます。
第1世代(ノルエチステロン系)
- プロゲスチン:ノルエチステロン
- 特徴:最も歴史が長い。不正出血がやや起きやすい
- 代表的な製品:シンフェーズ、ルナベルLD、ルナベルULD(LEP製剤)
- 向いている方:月経困難症の治療を目的とする方
第2世代(レボノルゲストレル系)
- プロゲスチン:レボノルゲストレル
- 特徴:不正出血が比較的少ない。三相性のものが多い
- 代表的な製品:トリキュラー、ラベルフィーユ、アンジュ
- 向いている方:初めてピルを飲む方、安定した周期を求める方
第3世代(デソゲストレル系)
- プロゲスチン:デソゲストレル
- 特徴:アンドロゲン(男性ホルモン)作用が低い。一相性で管理しやすい
- 代表的な製品:マーベロン、ファボワール
- 向いている方:ニキビや肌荒れが気になる方
第4世代(ドロスピレノン系)
- プロゲスチン:ドロスピレノン
- 特徴:抗ミネラルコルチコイド作用があり、むくみにくい。超低用量(EE 20μg)
- 代表的な製品:ヤーズ、ヤーズフレックス
- 向いている方:むくみが気になる方、月経困難症の治療目的の方
2. 相性(ホルモン量の変化パターン)による分類
一相性 - すべての実薬に同量のホルモンが含まれる - 管理が簡単で、飲み間違いが起きにくい - 生理日の調整(移動)がしやすい - 代表:マーベロン、ファボワール、ヤーズ
三相性 - ホルモン量が3段階に変化する - 自然なホルモン変動に近いため、不正出血が起きにくい - 錠剤の色が段階ごとに異なり、順番通りに飲む必要がある - 代表:トリキュラー、ラベルフィーユ、アンジュ
主要ピルの詳細比較
マーベロン(第3世代・一相性)
- 成分: デソゲストレル 0.15mg + エチニルエストラジオール 0.03mg
- タイプ: 21錠タイプ(21日実薬 + 7日休薬)
- 先発品/後発品: 先発品
- 特徴:
- 一相性で飲み間違いのリスクが低い
- デソゲストレルはアンドロゲン活性が低く、ニキビ改善に期待できる
- 生理日移動がしやすい(一相性のため)
- 日本で最も多く処方されているピルのひとつ
- 注意点:
- 第3世代はVTEリスクが第2世代よりやや高いとされる(Morimont L, et al. Front Endocrinol. 2021;12:769187. PMID: 34956081)
- 自費処方のみ(保険適用なし)
ファボワール(第3世代・一相性)
- 成分: マーベロンと同一(デソゲストレル 0.15mg + EE 0.03mg)
- タイプ: 28錠タイプ(21日実薬 + 7日プラセボ)
- 先発品/後発品: マーベロンのジェネリック(後発品)
- 特徴:
- マーベロンと同じ有効成分、同等の効果
- 28錠タイプなので毎日飲む習慣がつきやすい(飲み忘れ防止)
- マーベロンよりも価格が安い
- 注意点:
- マーベロンと同様のVTEリスク
- 自費処方のみ
トリキュラー(第2世代・三相性)
- 成分: レボノルゲストレル(段階的に変化)+ エチニルエストラジオール(段階的に変化)
- タイプ: 21錠タイプ
- 先発品/後発品: 先発品
- 特徴:
- 第2世代のレボノルゲストレルは、VTEリスクが比較的低いとされる
- 三相性で自然なホルモン変動に近く、不正出血が少ない
- 長い使用実績があり、安全性データが豊富
- 注意点:
- 三相性のため錠剤の順番を守る必要がある
- 生理日移動にはやや不向き(ホルモン量が変化するため)
- アンドロゲン活性がやや高いため、ニキビが気になる方は他を検討
ラベルフィーユ(第2世代・三相性)
- 成分: トリキュラーと同一
- タイプ: 28錠タイプ
- 先発品/後発品: トリキュラーのジェネリック
- 特徴:
- トリキュラーと同じ有効成分で同等の効果
- 28錠タイプで飲み忘れ防止に役立つ
- 先発品よりも安価
- 注意点:
- トリキュラーと同様の注意点
アンジュ(第2世代・三相性)
- 成分: レボノルゲストレル + エチニルエストラジオール(三相性)
- タイプ: 28錠タイプ
- 特徴: トリキュラーとほぼ同等。メーカーが異なる
ヤーズ(第4世代・一相性)
- 成分: ドロスピレノン 3mg + エチニルエストラジオール 0.02mg
- タイプ: 28錠タイプ(24日実薬 + 4日プラセボ)
- 先発品/後発品: 先発品
- 保険適用: 月経困難症に対して保険適用あり(LEP製剤)
- 特徴:
- 超低用量(EE 20μg)でホルモン量が少ない
- ドロスピレノンの抗ミネラルコルチコイド作用でむくみが起きにくい
- 24日実薬 + 4日休薬で、休薬期間が短い
- 月経困難症の治療として保険が使える
- 注意点:
- 避妊目的での処方は自費
- 第4世代のVTEリスクについては注意が必要(Morimont L, et al. PMID: 34956081)
- カリウム値の上昇に注意が必要な場合がある
ヤーズフレックス
- 成分: ヤーズと同一
- タイプ: 連続服用タイプ(最長120日間連続服用可能)
- 保険適用: 月経困難症に対して保険適用あり
- 特徴:
- 生理の回数を年3〜4回に減らせる
- 連続服用により月経困難症の症状を大幅に軽減できる
- 生理に伴う不調から解放される期間が長い
比較一覧表
| 項目 | マーベロン | ファボワール | トリキュラー | ラベルフィーユ | ヤーズ |
|---|---|---|---|---|---|
| 世代 | 第3 | 第3 | 第2 | 第2 | 第4 |
| 相性 | 一相性 | 一相性 | 三相性 | 三相性 | 一相性 |
| EE量 | 30μg | 30μg | 30-40μg | 30-40μg | 20μg |
| 錠数 | 21錠 | 28錠 | 21錠 | 28錠 | 28錠 |
| ニキビ改善 | ◎ | ◎ | △ | △ | ○ |
| むくみにくさ | △ | △ | △ | △ | ◎ |
| 不正出血の少なさ | ○ | ○ | ◎ | ◎ | ○ |
| 生理日移動 | ◎ | ◎ | △ | △ | △ |
| 保険適用 | × | × | × | × | ○ |
| 価格目安(1シート) | 約2,500-3,000円 | 約2,000-2,500円 | 約2,500-3,000円 | 約2,000-2,500円 | 保険適用時600-1,500円 |
※ 価格は自費処方の場合の目安であり、クリニックによって異なります(添付文書情報および厚生労働省ガイドラインに基づく)
自分に合ったピルの選び方
ニキビ・肌荒れが気になる方
→ マーベロン・ファボワール(第3世代) がおすすめです。デソゲストレルはアンドロゲン活性が低いため、ホルモン性のニキビ改善効果が期待できます。
むくみが気になる方
→ ヤーズ(第4世代) がおすすめです。ドロスピレノンの抗ミネラルコルチコイド作用で、むくみが起きにくい特徴があります。
初めてピルを飲む方
→ トリキュラー・ラベルフィーユ(第2世代) は使用実績が長く、不正出血も比較的少ないため、初めての方にも向いています。VTEリスクも他の世代より低いとされています。
生理痛がひどい方(月経困難症)
→ ヤーズ・ヤーズフレックス は保険適用で処方でき、超低用量で副作用も出にくい傾向にあります。特にヤーズフレックスは連続服用ができるため、生理そのものの回数を減らせます。
費用を抑えたい方
→ ジェネリック(ファボワール、ラベルフィーユ) を選ぶと先発品より安価です。成分は同一で効果も同等です。
飲み忘れが心配な方
→ 28錠タイプ(ファボワール、ラベルフィーユ、ヤーズ) は毎日飲む習慣がつくため、飲み忘れ防止に役立ちます。
ピルの変更について
現在服用中のピルが合わないと感じた場合(副作用が続く、不正出血が止まらないなど)、医師に相談のうえ別の種類に変更することができます。
一般的には、現在のシートを飲み終えてから新しいピルに切り替えます。変更の判断は必ず医師と相談のうえで行ってください。
あなたに合うピルを、オンラインで
初診・再診 0円 · 全国送料無料 · 30日間返金保証
よくある質問(FAQ)
ファボワールはマーベロンのジェネリック医薬品です。有効成分は同一で、効果も同等です。主な違いは、マーベロンが21錠タイプ、ファボワールが28錠タイプ(7錠のプラセボ付き)であること、そしてファボワールの方が安価であることです。
ジェネリック医薬品は先発品と同一の有効成分を同量含んでおり、効果・安全性は同等です。添加物(錠剤の色や形を作る成分)に違いがある場合がありますが、有効性に影響はありません。
はい、医師に相談のうえ変更可能です。副作用が気になる場合や、別の効果を期待したい場合は、遠慮なく医師に相談してください。
最終的にはピルの種類は医師が処方を判断しますが、あなたの希望や悩みを伝えることで、より適した種類を選んでもらうことができます。
zoey™ のオンライン診療では、医師があなたの体質、症状、ライフスタイルなどを問診したうえで、最適なピルをご提案します。ご希望がある場合はお気軽にお伝えください。
まとめ
低用量ピルは種類が多く迷いやすいですが、それぞれに特徴があります。自分の目的(避妊、生理痛、ニキビ、PMS)や体質、ライフスタイルに合わせて選ぶことが大切です。
大事なのは、「正解のピル」は人それぞれ異なるということ。まずは医師に相談し、試してみて、自分に合うものを見つけていきましょう。
→ 低用量ピルについて詳しくは「低用量ピル完全ガイド」をご覧ください。
参考文献: 1. Yoshida H, Sakamoto H. Contraception in Japan: Current trends. Contraception. 2016;93(6):475-477. PMID: 26872717 2. Morimont L, et al. Combined Oral Contraceptives and Venous Thromboembolism: Review and Perspective. Front Endocrinol. 2021;12:769187. PMID: 34956081
本記事の内容は、一般的な医療情報の提供を目的としています。個別の症状や治療については、必ず医師にご相談ください。
ご注意
本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、医学的な助言ではありません。Zoeyの診療は自由診療(公的医療保険適用外)です。お薬の承認状況は自由診療に関する表記をご確認ください。