低用量ピル

低用量ピルのメリット・デメリット|誰に適している? | Zoey

最終更新 2026年4月15日

低用量ピルのメリット・デメリット|誰に適している?

日本で「ピル」と聞くと、まだ馴染みがないと感じる方もいるかもしれません。低用量経口避妊薬(以下、低用量ピル)は1999年に日本で承認されて以来、その認知度と使用者数は着実に増えています。本記事では、低用量ピルの仕組み、メリット、副作用、そしてどのような方に向いているかをわかりやすく解説します。

ご注意:本記事は一般的な情報提供を目的としており、医療アドバイスではありません。ピルの服用を検討される場合は、必ず医師にご相談ください。


低用量ピルとは?

低用量ピルは合成エストロゲン(エチニルエストラジオール、EE)と合成プロゲスチンを組み合わせた経口避妊薬です。「低用量」とは、含まれるエストロゲン量が少ないことを指します。

日本の薬事規制では、低用量ピルはエチニルエストラジオール(EE)含有量が50マイクログラム未満のものと定義されています。現在国内で処方される製剤の多くは、EE20〜35マイクログラムを含む第2・第3・第4世代の製品です。

1960年代に最初に登場したピルにはEEが150マイクログラム以上含まれていましたが、研究の積み重ねにより、低用量でも同等の避妊効果が得られることが確認され、副作用リスクが大幅に低下しました。¹

なお、エストロゲンをまったく含まないプロゲスチン単剤ピル(ミニピル)も存在しますが、作用機序が異なるため本記事では主に扱いません。


低用量ピルの仕組み

低用量ピルは、主に以下の3つのメカニズムで避妊効果を発揮します:²

  1. 排卵の抑制 — ホルモンが脳下垂体に作用し、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)の分泌を抑えることで排卵を阻止します。
  2. 子宮頸管粘液の変化 — 粘液が増粘・変質し、精子が子宮内に侵入しにくくなります。
  3. 子宮内膜の変化 — 内膜が薄くなり、万一受精が起きた場合でも着床しにくくなります。

正しく服用した場合の避妊有効率は99%以上とされています。ただし、飲み忘れや不規則な服用を含む「一般的な使用」では、有効率は約91〜93%程度です。²


低用量ピルのメリット

1. 高い避妊効果

正しく毎日服用することで、非常に高い避妊効果が得られます。コンドームとの併用でさらに確実性が高まります。

2. 月経量の減少・周期の安定

低用量ピルを服用すると子宮内膜が薄くなるため、月経時の出血量が減り、生理周期が安定しやすくなります。3 月経量が多い方や不規則な周期に悩む方に有用なことがあります。

3. 月経困難症(生理痛)の緩和

排卵抑制とプロスタグランジン産生の減少により、月経痛が軽くなることがあります。³ 月経困難症は多くの女性が悩む症状であり、ピルはその緩和に役立つ場合があります。

4. ニキビへの効果

抗アンドロゲン作用を持つプロゲスチン(ドロスピレノンなど)を含む製剤は、皮脂分泌を抑える作用があり、ホルモン性ニキビの改善に役立つことがあります。⁴ ただし、ピルを美容目的で服用する場合も医師の診察と処方が必要です。

5. 月経前症候群(PMS)症状の改善

ホルモンバランスが安定することで、月経前のイライラ、むくみ、気分の落ち込みなどが和らぐことがある、と報告している使用者もいます。

6. 旧世代のピルより安全性が高い

現在の低用量ピルは、かつての高用量ピルと比べて血栓症や心血管系イベントのリスクが大幅に低下しています。⁵ ただし、ピルを服用しない場合と比較すると、一定のリスク上昇はあります。

7. 将来の妊孕性(妊娠しやすさ)には影響しない

服用中止後、多くの場合1〜3ヶ月以内に排卵が再開し、妊孕性は回復します。長期服用によって不妊になるというエビデンスはありません。


低用量ピルのデメリット・副作用

薬には副作用が伴う可能性があります。低用量ピルの主な副作用は以下のとおりです。

よくある副作用(服用開始後2〜3周期で改善することが多い)

  • 吐き気・むかつき — 食後または就寝前に服用すると和らぎやすい
  • 乳房の張り・痛み
  • 不正出血(消退出血以外の出血) — 特に超低用量(EE20マイクログラム以下)の場合、服用初期に起きやすい
  • 頭痛

あまり多くない副作用

  • 気分の変化・性欲の低下 — プロゲスチンの種類を変えると改善することがある
  • 腟の乾燥感
  • コンタクトレンズ装用時の不快感 — エストロゲンが角膜形状に影響することがある

まれだが注意が必要な副作用

  • 静脈血栓塞栓症(血栓) — ピル服用者では年間10,000人あたり3〜9人と推定されており、非服用者の約2人と比較するとリスクは上昇します。⁵ 一方、妊娠中の血栓リスクはピル服用中より高いとされています。
  • 血圧上昇 — 服用開始時および定期検診で血圧を確認することが重要です
  • 脳卒中・心筋梗塞 — 健康で非喫煙の35歳未満の女性ではまれですが、喫煙・前兆のある片頭痛・高血圧などがある場合はリスクが有意に増加します⁵

低用量ピルが向いている人・向いていない人

向いている可能性がある方

  • 確実性の高い避妊方法を求めている方
  • 月経量が多い、または月経痛が強い方
  • 月経周期を安定させたい方
  • 毎日服用する習慣が続けられる方

服用に注意が必要または適さない可能性がある方

世界保健機関(WHO)の避妊法使用医学的適格基準(MEC)では、以下の状況での複合ピル使用は慎重な判断が必要とされています:²

  • 35歳以上で喫煙している方 — 心血管リスクが大幅に上昇
  • 前兆を伴う片頭痛がある方 — 脳卒中リスクが上昇
  • 静脈血栓塞栓症の既往または家族歴がある方
  • コントロールされていない高血圧の方(収縮期≥160 / 拡張期≥100 mmHg)
  • 活動性肝疾患の方
  • 産後6週間未満で授乳中の方 — エストロゲンが母乳分泌に影響する可能性
  • エストロゲン感受性腫瘍(乳がんなど)の既往または現病歴がある方

これらに該当する方には、プロゲスチン単剤ピルや子宮内避妊器具(IUD)など、別の選択肢が適している場合があります。必ず産婦人科医にご相談ください。


低用量ピルと超低用量ピルの違い

特徴超低用量ピル(EE≤20μg)低用量ピル(EE20〜35μg)
エストロゲン暴露量より少ないやや多い
不正出血のリスク服用初期はやや高い比較的少ない
エストロゲン過敏な方に適していることが多い影響が少ない場合も
消退出血量少なめやや多め

2013年のコクランシステマティックレビューでは、EE20マイクログラム以下の超低用量ピルは不正出血による服用継続率がやや低いことが示されました。⁷ 製剤変更は一般的な対応であり、耐容性の評価には2〜3周期かかることがあります。


日本でのピルの入手方法

日本では、低用量ピルは医師の処方箋が必要な医療用医薬品です。産婦人科、婦人科、または一部の内科・女性クリニックで処方を受けることができます。

近年はオンライン診療でも処方が可能になっており、自宅にいながら医師の診察を受け、薬局または郵送でピルを受け取ることができます。

初診時には、医師が問診(月経周期、既往歴、喫煙歴など)と血圧測定を行い、最適な製剤を提案します。定期的な受診(通常3〜6ヶ月ごと)も必要です。


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よくある質問(FAQ)


参考文献

  1. 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会. 低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合薬ガイドライン(2020年版). 東京: 公益社団法人日本産科婦人科学会; 2020.
  2. World Health Organization. Medical Eligibility Criteria for Contraceptive Use, 5th ed. Geneva: WHO; 2015.
  3. Schindler AE. "Non-contraceptive benefits of oral hormonal contraceptives." Int J Endocrinol Metab. 2013;11(1):41-47.
  4. Arowojolu AO, Gallo MF, Lopez LM, Grimes DA. "Combined oral contraceptive pills for treatment of acne." Cochrane Database Syst Rev. 2012;(7):CD004425.
  5. Lidegaard Ø, Nielsen LH, Skovlund CW, Løkkegaard E. "Venous thrombosis in users of non-oral hormonal contraception: follow-up study, Denmark 2001–10." BMJ. 2012;344:e2990.
  6. Collaborative Group on Epidemiological Studies of Ovarian Cancer. "Ovarian cancer and oral contraceptives: collaborative reanalysis of data from 45 epidemiological studies." Lancet. 2008;371(9609):303-314.
  7. Gallo MF, Nanda K, Grimes DA, et al. "20 µg versus >20 µg estrogen combined oral contraceptives for contraception." Cochrane Database Syst Rev. 2013;(8):CD003989.
  8. 厚生労働省. 低用量経口避妊薬の取り扱いに関する検討委員会報告書. 1999. https://www.mhlw.go.jp/

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本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の疾病の診断・治療・予防を目的としたものではありません。ピルの服用に関しては、必ず医師にご相談ください。本記事の内容は薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)を遵守して作成されています。

ご注意

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、医学的な助言ではありません。Zoeyの診療は自由診療(公的医療保険適用外)です。お薬の承認状況は自由診療に関する表記をご確認ください。